わーい!
(童心に戻って)?
とうとう、あのポン・ジュノ監督がグエムルに続くモンスター映画を撮りあげて、Netflix限定で公開しました。
その名も、オクジャ/Okja。
両生類のようなモンスターが活躍したグエムルとはうってかわって、今度は、デカイ豚が暴れまわります。
しかも、オクジャ/Okjaを製作したのはプランBエンターテイメント。ブラッド・ピットが設立した映画制作会社です。キック・アスシリーズやワールドウォーZなど、数々のヒット作を連発している映画制作会社なので、期待も高まります。
そして、もちろん、ポン・ジュノ監督の映画ですから、劇場一般公開の凡百の予定調和映画とは一線を画しています。
『オクジャ/Okja』は、最初は実写版となりのトトロみたいな感じなんですが……。。。
きっと、この映画を最後まで見たとき、あまりにも無情な現実に打ちのめされることでしょう。ラストには希望はありますが、それでも、過酷な現実に、なら、どうすればいいんだよ、と頭を抱えることになります。その深みや余韻が、ポン・ジュノ監督の映画のたまらない部分でもあるんですがね(^^)
オクジャ/Okjaのキャスト
オクジャ/Okjaのキャストは、なかなか豪華。
キャストは以下のようになっています。
【オクジャ/Okjaのキャスト】
ルーシー・ミランド / ナンシー・ミランド – ティルダ・スウィントン(井上喜久子)
ジェイ – ポール・ダノ(林勇)
ジョニー・ウィルコックス博士 – ジェイク・ジレンホール(高橋広樹)
ヒボン – ピョン・ヒボン
ケイ – スティーヴン・ユァン(大泊貴揮)
ジェイ - ポール・ダノ(林勇)
フランク・ドーソン - ジャンカルロ・エスポジート(堀内賢雄)
ミジャ役のアン・ソヒョンは、ぺ・ドゥナに何となく似ている気がします。黒髪・丸顔・あどけない、垢抜けない雰囲気の女の子が、ポン・ジュノ監督は好きなのでしょうか。
ティルダ・スウィントンは、最近ではミスター・ストレンジでベネディクト・カンバーバッジと共演していますし、ジェイク・ギレンホールもサウスポーやナイト・クローラーなど話題作ばかりに出演しています。
それに、スティーヴ・ユァンも、ウォーキング・デッドの快演が記憶に新しいです。
ブレイキング・バッドのジャンカルロ・エスポジートが出ているのも、ブレイキング・バッドのガス・フリングが好きなぼくとしてはうれしいところです。
オクジャ/Okjaの魅力はモンスター・アクションではない
オクジャ/Okjaは、巨大な豚が大暴れする話。
でも、ただのモンスターパニック映画なのかといえばそんなことはありません。
やっぱり、グエムルのときみたいに中途半端なサイズのモンスターが大暴れしているときに、確かにこのサイズの豚が暴れたらこんな感じになるんだろうな、みたいなリアリティがあります。
グエムルのときも、なんか変なリアリティや臨場感がありましたよね。
そして、笑っていいのか、真面目に受け取っていいのか、よく分からない不思議なユーモアも健在です。
オクジャ/Okjaは、モンスター映画が好きな人、一風変わったモンスター映画が見たい人、ポン・ジュノ監督の映画が好きな人におすすめです。
でも、モンスター・パニック・アクションを期待している人は、ちょっと覚悟した方がいいかも。どちらかというと、オクジャ/Okjaは、異形の怪物(モンスターとするには可愛い過ぎるきらいがあるが……)を、人間という生き物が弄ぶ話です。
オクジャは、遺伝子組み換え豚なので、当然、この生き物は食べるために生み出されました。そのために、遺伝子組み換えをされた食用の豚がされることで、ぼくたちの頭でも予想ができるようなことをオクジャはされますし、それをぼくたちも目撃することになります。
オクジャ/Okjaはリアル版『ベイブ/都会へ行く』
ポン・ジュノ監督の今まで撮ってきた映画がそうであるように、オクジャ/Okjaは、子供向けの映画ではありません。
自然あふれる故郷で、幸せに生きてきた少女と豚に、とても冷たい現実が突き付けられる話です。リアル版ベイブ都会へ行く、と捉えることもできるかも。
巨大企業の陰謀、動物愛護団体、屠畜・屠殺・遺伝子組み換えなどのキーワードがアンテナに引っかかるという人も、おそらく、納得のいく映画かと思います。
動物たちにとっては毎日がホロコースト
オクジャ/Okjaは、最後にはとんでもない場所へぼくたちを連れていってくれます。
この映画から、ポン・ジュノ監督は、とても『食』というものについて強い関心を寄せているのが分かります。
単純に『肉食』について反対するような映画ではなく、ですが、『オクジャ/Okja』を見たあとに、トンカツやステーキなどを食べることに何か抵抗を覚える人も多いでしょう。
オクジャ/Okjaは、いま、ぼくたちが食べている肉が、一体、どのように生まれ、どこから来たのか、について考えさせられる映画です。
スーパーで、ぼくたちが買っているお肉は、既に死んでいるお肉、殺されているお肉ですが、これって、動物たちとっては、毎日ホロコーストが起こっているようなものなんですよね。
ぼくたちは、生きていくためとはいえ、とても残酷なことに加担し、それを意識することなく毎日を過ぎしているんだなあ、と実感してしまいました。
さすが、ポン・ジュノ監督。
『となりのトトロ』と『ファーストフード・ネイション』を融合させた映画を撮ってしまうとは……。
毎度毎度、ビックリさせられる映画監督です。。。
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