先日、遅ればせながらようやく映画『ミュージアム』を観ました。
日本のサスペンス・スリラーには、あまり期待していなかったのですが、思わぬ拾い物だったので、感想を書いておきたいと思います。
ミュージアムはこちらで視聴することができます。
【ミュージアムが視聴できるサービス】
サービス名 | 視聴できるか |
---|---|
U-NEXT | 〇 |
Hulu | × |
TSUTAYA DISCAS/TSUTAYA TV | 〇 |
Netflix | × |
※こちらの情報は2017年3月31日時点のものとなります。正確な情報については各VOD公式サイトでご確認ください。
ミュージアムの見どころ
ミュージアムの見どころは大きく分けて3つあります。
まず、サイコサスペンスとしての迫真性。
セブン・ミーツ・ソウの仕上がり
ミュージアムを日本版のセブンと言っている人もいますが、正直、デヴィッド・フィンチャーのセブンは傑作すぎるので、セブンには迫れてはいないと思います。
しかし、犯人の猟奇性や得体の知れなさ、それに、殺人被害者たちの共通点が発覚する瞬間などは、見ていてとても戦慄させられるものがあり、見ていて非常に楽しいです。
最初は、セブンの連続殺人鬼ジョン・ドゥのような見立て殺人から始まり、次第に事件に巻き込まれた刑事である沢村久志『小栗旬』が、犯人のカエル男に捕まるところから、ソウの様相を帯びてきます。
ただし、あくまでも、ミュージアムが意識しているのは『セブン』であり、拷問の要素は薄めです。
この映画の骨格としてあるのは、あくまで、『セブン』という映画なのだな、と感じました。
セブンのようなサイコサスペンスが好きな人は、ミュージアムもかなり楽しめるでしょう。
小栗旬がひたすらにエモーショナル
小栗旬さんといえば、熱い男というイメージがありますが、ミュージアムの小栗旬さんはとんでもなくエモーショナルです。
なにしろ、映画全編にわたってほとんど怒ったり絶叫したりしていますから。
こんなにも怒り狂って、傷だらけになって、犯人を追跡する小栗旬さんは、今まで見たことがありませんでした。
これだけの怒りや激しい感情を、全編通して表現できる小栗旬という俳優のすごみを感じさせられる映画でした。
そういう意味では、小栗旬ファンも小栗旬ファンじゃない人も楽しめると思います。
ミュージアムは、グロいシーンやショッキングなシーンも出るには出ますが、それを差し引いても今回の小栗旬さんは、俳優生命を縮めているんじゃないか、と思えるくらいにとても良い演技をしています。
セブンの場合は、ブラッド・ピットが演じる若者の刑事と、未熟な彼と共に捜査をするベテラン刑事であるモーガン・フリーマンがいましたが、ミュージアムは、小栗旬一択に振り切っています。漫画の場合は、もう少し相方の刑事の出番が多めな気がしますが、あえて、大友啓史監督は、小栗旬さんの見せ場をメインで見せることにしたのでしょう。
で、結果的に、その試みは成功しています。
とにかく、小栗旬という俳優を魅力的に見せるための撮り方に終始しています。
この映画に出ている小栗旬さんは、本当にエモーショナルで、いつまでも彼のことを見ていたい、という欲望が生まれるほどに引き込まれました。
また、ミュージアムの小栗旬の熱量については、韓国系のスリラー映画やバイオレンスの映画の影響を受けている可能性もあるのではないかと思いました。
ミュージアムは、妻夫木聡を無駄遣いしている感や、ラストに関するいろいろ(これを言うとネタバレになるので言えない)など、文句を言いたくなる箇所がいろいろあることもわからないのではないのですが、それを補って余りあるほどに小栗旬が魅力的なので、ぜひ、見て欲しい映画です。
ミュージアムの見立て殺人
ミュージアムは、快楽殺人犯であるカエル男による見立て殺人が見どころです。
セブンでも七つの大罪を見立て殺人が出てきましたが、ミュージアムの舞台は日本なので、見立ての殺人については、宗教は関係していません。
むしろ、被害者たちの生活に密接なものを題材として殺人が行われます。
【ミュージアムで出る見立て殺人】
・母の痛みを知りましょうの刑
・均等の愛の刑
・ずっと美しくの刑
・お仕事見学の刑
・針千本のーますの刑
↑のタイトルで、どんな殺人か気になった、というイケナイ好奇心たっぷりのあなたは、ミュージアムを存分に楽しめるかもしれないです。
かなりエグいところまで見られます。
メジャー系の日本映画としては、相当攻めていますね。
ミュージアムはミステリードラマとしても秀逸
実は、殺人の奇抜さや小栗旬のエモーショナルな演技だけが話題になりやすいミュージアムですが、この映画はミステリードラマとしても秀逸です。
小栗旬が犯人を追跡していく過程は、単なる偶然や幸運ではなく、きっちりとしたロジックによって作り込まれています。
なので、見ているこちらも一緒に推理しながら犯人を追うことができるのです。
たとえば、犯人が被害者を選ぶ基準や、犯人である蛙男が雨の日に犯行をする理由などは、きちんと明確な動機があることは、映画の進行と共に明らかになります。
なので、サイコサスペンスとしてだけでなく、ミステリードラマとしても楽しめるのです。
そういう意味では、サイコサスペンスあり、アクションあり、推理要素あり、とかなり欲張りな映画でもあります。
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