たまにはマニアックな映画、それも台湾映画も紹介します。
台湾映画といえば、近年はモンガに散るやセデック・バレ二部作など、かなりクオリティの高い映画が出ていますが、実はそれ以前にもかなり質の高い映画があるんです。
それが、エドワード・ヤン監督の最高傑作と名高い牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件です。
エドワード・ヤン監督といえば、1986年に発表した恐怖分子のときからすごい映画を撮る監督だな、と思っていたのですが、そのあとに撮った牯嶺街少年殺人事件は更にその上を行っていました。
牯嶺街少年殺人事件は実在の殺人事件がモデル
牯嶺街少年殺人事件は1961年に実際に起こった殺人事件がモデルとなっています。
少年の殺人事件をテーマにして、その当時の台湾の社会やその歴史までを描いている、というと、なんか難しいことを言っているように聞こえますが、牯嶺街少年殺人事件は、一人の少年の青春についての映画なので、いろいろな世代の人たちが共感することができるでしょう。
少年の愛と絶望を描いたのが牯嶺街少年殺人事件なのです。
牯嶺街少年殺人事件で描かれている世界
牯嶺街少年殺人事件は、エドワード・ヤン監督が、台湾で起こった少年の殺人事件に大きな影響を受け撮られました。
牯嶺街少年殺人事件は、エドワード・ヤン監督が感じた世界観がそのまま描かれています。
それは、一言で説明するなら、夜の世界です。
この映画で描かれる夜は、どこまでも深く暗い闇です。
1960年代の台湾の夜は、とても暗く、現在の台湾の夜とはまるで異なっています。
そこは、繁華街のネオンの光はなく、ましてや、LED外灯すらもない世界。
でも、そんな物理的条件なんて関係なく、エドワード・ヤン監督の描く闇はとても暗いです。
そして、そんな世界で生きる作中の登場人物たちは、とても生き生きとしています。
スティーブン・キングのスタンドバイミーでも思ったのですが、違う時代に生きていた少年たちが、どうしてこんなにも身近に感じられるのか、不思議です。
牯嶺街少年殺人事件がなぜこれまでソフト化もされなかったか
なぜ、牯嶺街少年殺人事件が傑作とされながら、日本ではVHSしか出回っていないのか。
それは、牯嶺街少年殺人事件か製作されたあと、日本の製作会社が倒産したため、
・上映できない
・ソフト化できない
という状態が続いていたからです。
上映やソフト化の権利が面倒な金融機関が持っていて、もう見ることができないと思われていた傑作映画が再び見られるのはとても嬉しいことですね。
牯嶺街少年殺人事件は、あのGOを撮った行定勲監督も、撮影現場に参加しており、生半可な気持ちで簡単には消費して欲しくない映画とコメントしているくらいの映画です。
なので、もし、この映画を見るのなら、これからの自分の人生が変わってしまうことも覚悟して見てほしいな、と思います。
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