國村準出演の韓国映画『哭声/コクソン』のナ・ホンジン監督の撮影スタイルの凄まじさ

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哭声/コクソン(2016年)といえば、哀しき獣を撮ったナ・ホンジン監督の映画です。

ナ・ホンジン監督といえば、韓国のクライム・スリラー映画の名手。
前作『哀しき獣』では、キム・ユンソクが演じるミョン社長という映画史に残る野獣社長を生み出しました。

そんなナ・ホンジン監督の最新作『哭声/コクソン』は、田舎のオカルトホラーです。しかも、ただの田舎ホラーではなく、今度はゾンビと悪霊と日本人(國村準さん)が活躍します。

でも、どうして、日本人である國村準さんが、韓国映画のキャストに抜擢されているんでしょうか。また、そんなナ・ホンジン監督の一味変わった撮影スタイルについて、今回の記事では解説します。

なぜ、哭声/コクソンに國村準が出演したのか

國村準さんが、ナ・ホンジン監督の哭声/コクソンに出ようと決めたのは、やはり、役柄が魅力的だったから、だそうです。

また、ナ・ホンジン監督の映画に出られる、というのは一つのステイタスである、という側面も強いと思います。

なにしろ、ナ・ホンジン監督は、哀しき獣という話題作を撮った監督でもありますし、また、その前には、チェイサー(2008)という、やはり、とんでもない映画を生み出しています。

チェイサーは、韓国映画のすさまじさを代表するかのような、視聴者に強烈なインプレッションを与える映画なので、見るものを選ぶとは思いますが、こちらもおすすめしたい映画ですね。

そんなナ・ホンジン監督の映画に、國村準さんが出演したい、と考えてもまったく不思議ではないと思います。
また、國村準さん自身が語っていますが、

「韓国映画は前から観ていて興味があったんですよ。なんでこんなにパワフルで面白い作品が次々にできるんだろう。この役者たちの存在感、エネルギッシュでパワフルな演技はどこから来るんだろうと。それは一緒にやってみればいちばんよくわかるだろう」

出典:映画秘宝2017年4月号

そんな風に思っていたところで、哭声/コクソンのオファーがあったようですね。にしても、韓国映画でも最高レベルでハードな現場に60歳を過ぎて参加しようと思う國村準さんのエネルギーも凄まじいものがありますよね。

ナ・ホンジン監督の撮影スタイル

映画秘宝2017年4月号の國村準さんのインタビューによれば、ナ・ホンジン監督というのは、一旦、現場に入ると人格が変わってしまうようです。
作品のことだけに意識がシフトするので、スタッフのことをまったく顧みない人になるのだとか。
韓国語だから、國村準さんには何を言っているのか分からなかったそうですが、そうとう口汚くナ・ホンジン監督はののしりまくっていたようですね。
もう、相手を人間だと思わないような無茶苦茶な罵倒をするらしいのですが、それってどんな罵倒なのか、聞きたくなっちゃいました(笑)

でも、そういう相手のことを顧みないスタイルだからこそ、完成度が高い映画が撮れる、というのは間違いなくあると思います。相手を気遣うことで妥協した作品になってしまったとすれば、その人は、映画監督としての才能はないですよね。

國村準さんも言ってますが、人間性なんてどうでもいい、というのは本当だと思います。
作品に監督の人間性なんて関係ないんですよね。
むしろ、中途半端に遠慮して、自分のビジョンを表現できなかったり、完成度が低くなったりしてしまう方がよろしくないかと。
映画だけでなく、漫画や小説、絵画、音楽など、それはあらゆる芸術にも通じていることだと思います。

ナ・ホンジンの俳優に対する演技指導のスタンス

ナ・ホンジンの俳優に対する演技指導のスタンスですが、これは、少しだけ変わっています。
どのような芝居をしろ、という注文ではなく
『このシーンは観客にこういう印象を与えたいから、そうできる演技をしてほしい』
というものなんです。

なので、ナ・ホンジン監督の意図通りの印象を観客に与えられれば、それで演技はクリアということになります。できれなければ、延々とテイクを重ねることになるわけです。

細かく演技指導をする監督もいれば、自由に演技をさせてくれる監督もいますし、映画監督の俳優に対する演技指導のスタンスって、本当に監督さまざまですよね。

國村準の演技のスタンス

ナ・ホンジン監督の演技指導のスタンスがある一方で、國村準さんの演技へのスタンスはどのようなものなのでしょうか。

國村準さんの演技のスタンスは、役作り、という言葉は適切ではない印象があります。
というのも、國村準さんは、役というものは作るものではない、と感じているからです。
自分が演じる人物は、そこにフッといるもので、その役柄が自分という容れ物のなかにあることを感じることができればいいのだとか。

なので、哭声/コクソンでも、役作りというよりは、人物の印象を己の内側でしっかりと持つことができたので、怪演ともいうべき今回の演技もブレずに演じ切ることができたわけですね。

とはいえ、あの驚愕のクライマックスは、???、だれか説明してくれってなりますが(笑)哭声/コクソンは、國村準さんの見え方がどんどん変わっていく映画なので、俳優としての演技の面白さが楽しめる映画だと思います。

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